野菜の起源と進化
野菜の起源と進化
野菜の中には、起源が同じなのに
外見が著しく異なっているだけでなく、
葉や茎、根など、食用とする部分まで
違っているもの
例:キャベツとブロッコリー、カブとハクサイ
があります。
これらの野菜は、元をたどれば同じ野生植物に
行き着くものと考えられます。
それが人の手によって栽培されるようになり、
長い歳月を経て全世界に伝わっていき、
それぞれの地域で品種改良などが重ねられた結果
さまざまな野菜が誕生したと考えられています。
三種類の野菜の起源と進化
キャベツの仲間
キャベツは、ヨーロッパ原産。
ケルト人によって栽培された野生種のケールが、
その祖先と言われています。
ヨーロッパ中に広まるうちに、現在のような
結球した丸い形のものが生まれました。
花らいを食べるブロッコリーやカリフラワー、
茎を食べるコールラビも、このキャベツの仲間です。
その変化を時代の流れに合わせて説明します。
ケール: キャベツやブロッコリーの原種に
(原種) いちばん近いとされる野菜。「ハゴロモカンラン」
とも呼ばれ、結球しない。
最近では青汁の原料としても有名でビタミンA,C
カルシュウムに富む。
コールラビ:9世紀ごろイタリアで改良され、16世紀には
ヨーロッパ各地で栽培されていた。
「カブキャベツ」の別名どおり、カブのような
形をしているが、キャベツの仲間。肥大した茎
の部分が食用となる。サラダやピクルス、炒め
物にするとよい・
キャベツ:いわゆる結球型のキャベツは、12世紀に南ドイツに
存在しており、13世紀にイギリスに渡った後、世界
各地に伝わり、日本には江戸時代に伝わり、明治時代
以降には一般化した。「カンラン」とも呼ばれる。
メキャベツ:16世紀にベルギーで改良され、19世紀に世界各地
に広まった。長く直立した茎に、沢山のわき芽をつけ
てできる。キャベツよりも軟らかくて甘みがあり、ビ
タミンCに富む。
ブロッコリー:18世紀ごろ、イギリスで改良された。茎の先端に
できる花らい(小さなつぼみ)の塊を食用する。別名
「ミドリハナヤサイ」。カロテンやビタミンCが多く、
栄養価が高い。
カリフラワー:「ハナヤサイ」「ハナカンラン」とも呼ばれ、
ブロッコリーから改良されたものと思われる。
花らいの色は、白以外にオレンジや紫のものがある。
カブの仲間
中央アジアおよびヨーロッパが原産
意外と思われるかもしれませんが、
カブは白菜のもとになった野菜と考えられており、
小松菜や野沢菜などのツケナ類、チンゲン菜などと同じ仲間。
ちなみにダイコンは、同じアブラナ科でも、
ダイコン属という別の属の仲間です。
日本へのカブの伝わり方は二系統あり、
中国を経由して来た「アジア型」と、
ヨーロッパから伝来した「ヨーロッパ型」とがある。
同じ日本でも、東日本には「ヨーロッパ型」が、
西日本には「アジア型」が定着し、
各地で品種改良が行われた。
なお、中国ではカブからチンゲン菜や白菜が生まれ、
日本では小松菜やミズ菜が生まれた。
日本におけるカブの仲間
カブ:我が国でも古くから親しまれてきた野菜であり、
地方ごとに数多くの品種が存在する。
大きさや形も様々で、色も白、赤、黄など、
多岐にわたる。
小松菜:ビタミンやカルシウムなど、栄養価が
非常に高い緑黄色野菜。
江戸時代、東京の小松川周辺で栽培されて
いたのが、名前の由来。
ミズ菜:冬の京野菜で、「キョウナ」「キョウミズナ」とも
呼ばれる。独特の歯触りと辛味があり、
煮物や漬物などに用いられる。
中国におけるカブの仲間
チンゲン菜:炒め物やおひたしの材料として、
中国野菜のなかで最もポピュラーなもの。
熱を加えると、緑色がさらに鮮やかになる。
ターツァイ:「キサラギナ」「チヂミユキナ」とも
呼ばれる。軟らかく、くせのない味が魅力の中国野菜。
ハクサイ:冬野菜の代表的な存在だが、
日本に伝わったのは意外にも遅く、
幕末から明治時代にかけて、その後、
一般に広まったのは、大正時代になってから。
沢山の葉が重なった結球タイプが主流だが、
半結球、不結球のものがある。
パクチョイ:学名はチンゲン菜と同じで、見た目も
似ているが、茎や葉の色合いがやや違う。
「カントンハクサイ」とも呼ばれ、カブと
パクチョイを掛け合わせたものがハクサイである、
とも言われている。
レタスの仲間
西アジア・地中海原産
地中海沿岸で生まれたレタスは、7世紀ごろには中国に
伝わり、日本には奈良時代に一度伝来しているが、
一般化されなかった。日本で一般的に広まった現在の
レタスは、ヨーロッパからアメリカ大陸へ渡って
品種改良されたものである。
レタスには、「タマレタス(タマチシャ)」
「リーフレタス(チリメンチシャ)」
「ステムレタス(カキチシャ)」
「コスレタス(タチチシャ)」
の四つの仲間があります。
日本で主流となっているのはタマレタスですが、
最近ではリーフレタスをはじめ、その他のタイプも
出回りつつあります。
サラダ菜:バターヘッド型と呼ばれる。タマレタスの一種。
結球はクリスプヘッド型に比べてゆるく、
普通は結球する前の状態で収穫される。
我が国には、明治時代にヨーロッパから伝えられた。
レタス:タマレタスの一種で、クリスプヘッド型と呼ばれるもの。
我が国で一般に「レタス」と言えばこのタイプを指すほど、
なじみが深い。しかし、伝来したのは比較的新しい。
サニーレタス:リーフレタスの代表種。正確には「サニーレタス」
は銘柄名だが、需要の伸びとともに、今では一般名称として
定着。
グリーンカール:「サニーレタス」同様、リーフレタスの一種。
名前どおり、葉が細く縮れているのが特徴。
くせのない味で、食べやすい。
コスレタス:エーゲ海のコス島で栽培されていた、
原種に近いレタス。楕円形にゆるく結球する。
ローマ人が好んでいたため、「ロメインレタス」とも
呼ばれる。